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クリスチャン・アパルタ:どのように専門用語に取り組むか

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    こんにちは クリスチャン・アパルタです
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    専門用語の訳し方について 
    お話ししたいと思います
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    翻訳者として 私達が皆知っているように
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    一つの単語でも色々な意味があります
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    単語を訳せばいいというのではなく
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    その単語が何を指し示しているのか
    訳出先の言語ではどう使われているのか
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    わからないといけません
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    だいたいは文脈によって判断します
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    "mouse"という単語が最初の文で出てきたら
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    文脈によって これは一般的な意味で言う
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    ネズミであるとわかりますが
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    二番目の文では
    これがもう少し領域が絞られて
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    コンピューターのマウスを
    指すことがわかります
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    最初の文章に出てくる"mouse"を訳す時には
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    その言語の全般的な知識に照らし合わせて
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    「文字通り」「一語一語」訳します
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    しかし二番目の文章で出てくる"mouse"では
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    特殊領域の話になるので
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    文字通りに訳すことができません
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    しかし もし
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    コンピュータのことを何も知らなければ
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    自分の言語では何と呼ばれているか
  • 1:20 - 1:25
    調べ物をしなければなりません
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    それが重要なことで
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    英語でも一つの単語で二つの意味を
    持つこともありますし
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    外国語では まったく違った
    文字通りの訳語ではない場合もあります
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    例えば日本語では "mouse"はげっ歯類の
    「ネズミ」という意味になりますが
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    コンピュータの「マウス」
    という意味にもなります
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    「マウス」と「ネズミ」では
    まったく違う意味です
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    特定の領域で使われる単語を
    「専門用語」と呼びます
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    ほとんどの場合 単語やフレーズが
    専門用語かなのかどうか簡単にわかります
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    専門用語は大文字で始まることがよくあります
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    この2つのフレーズの意味は
    まったく違っていて
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    あなたの言語での訳も違うものになるでしょう
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    スペイン語では "la Gran Uralla China"は
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    文字通りでは"la pared grande"で
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    家の中にある壁といった意味です
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    難しく見えたり 外国語のように聞こえるのも
    専門用語の場合があります
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    "velocity"(速度)や
    "aperture"(口径)といった単語は
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    調べたほうが良いという気になります
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    しかし専門用語か見分けにくい時もあります
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    そんな時は英語で専門用語かどうかを調べて
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    翻訳先の言語に
    確立された訳語があるかを調べます
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    しかし訳語を自分で作らないといけない
    こともあります
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    こんな経験をしたことがあります
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    ポーランド語の翻訳を
    レビューをしていた時のことです
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    キンガ・スコルプスカが翻訳した
    ヤナ・レビンの「宇宙の音」についての
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    トークでした
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    翻訳者の許可を得てこの例をお見せしますが
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    ヤナは"dust lanes"という単語を使っていて
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    ポーランド語では"ścieżki pyłu"と言っています
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    文字通りでは「埃の道」という意味です
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    ジャナはトークの中で
    専門用語を多用しているので
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    私は文字通りの訳で良いか迷いました
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    "dust lane"が専門用語か
    知る必要がありました
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    "dust lane” galaxy という言葉を
    グーグル検索しました
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    二重クオーテイションマークは
    完全一致検索を示します
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    Wikipediaでソンブレロ銀河という
    記事があって
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    dust laneが同じ意味で使われていました
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    ですから"dust lane"は専門用語だと
    確認できたのです
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    今度はポーランド語の訳語を
    見つけなければなりません
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    最初にポーランド語のソンブレロ銀河の
    見出し語を見つけました
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    文字通りに訳すと
    こんな文章がありました
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    「非発光性の物質のベルト(torus)で
    部分的に遮られている」
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    この時点では"torus"は"dust lane"の
    ポーランド語訳として適切に思えましたが
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    本当にこの記事の中だけで使われているのか
    ポーランド語でも確立された語なのか
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    確信が持てませんでした
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    そこで もう一度グーグルで検索をして
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    その時は"torus galaktyka"という訳語を
    見つけることができました
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    ウィキペディアでセイファート銀河
    という見出し語の中にあり
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    文字通りに訳すと
    こうなる一文を見つけたのです
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    「… 活発な中心核に近接している。
    (ダストトーラスとしても知られている)」
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    それで
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    やっと翻訳が終わったと思いました
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    "dust lane"はポーランド語で"torus pylowy"
    もしくは"dust torus”と訳しました
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    しかし この二つは似ていないかもと
    思いついたのです
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    "lane"という単語は普通 直線のものに使われますが
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    丸いものにも使われます
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    "torus”は常に円形です
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    そこで英語の"dust lane"という単語が
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    円形のものにも使われているか
    確かめる必要がありました
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    "torus"で使われているようにです
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    そこでもう一度検索して
    "dust lane” galaxyを調べました
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    しかし今回は画像検索です
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    しかし表示された銀河の画像では
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    自分の考えが合っているとも
    間違っているとも言えませんでした
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    そこで 別の検索をしました
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    "直線の|長い dust lane" です
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    この垂直線は OR検索の意味です
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    普通 円形と言えば
    「直線の」や「長い」とは表現されません
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    そこで銀河の画像や説明がある
    ページにたどり着き
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    「長いdust lane」という表現がある
    説明を見つけました
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    しかしそのページに記載された
    この説明と画像を見比べると
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    どれも同じように見えました
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    ですから"dust lane"は
    円形のものを指すと理解できました
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    そこで訳語を決めました
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    "Dust lane"は"torus pylowy"と
    訳すことにしたんです
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    ポーランド語の逐語訳では
    "dust torus"という意味です
  • 7:08 - 7:13
    翻訳者の皆さんは
    いつもこのように調べ物をしているでしょう
  • 7:13 - 7:16
    この話をしたかったのは
  • 7:18 - 7:23
    自分の知らない専門用語を学んで
    トークの本質を知ることは
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    翻訳でも一番楽しいことだからです
  • 7:31 - 7:32
    ありがとうございました
Title:
クリスチャン・アパルタ:どのように専門用語に取り組むか
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TEDGlobalで行われたオープン翻訳プロジェクト ワークショップでのプレゼンテーションの振り返りです。  
翻訳する際に専門用語を調べ尽くすことが何故重要なのか、ジャナ・レヴィンの『宇宙が奏でる音』というTEDトークをポーランド語翻訳した際に訳した専門用語に基づいてお話しします。ジャナ・レヴィンのトークはhttp://www.ted.com/talks/lang/eng/janna_levin_the_sound_the_universe_makes.htmlで見ることができますので、翻訳にも注目してみてください。

画像出典:

スライド 2: マウス (動物) -- Salssa http://www.sxc.hu/photo/985046 mouse (コンピューター) -- Mustafa Kilic http://www.sxc.hu/photo/1279442
スライド 3: マウス (動物) -- Bas van de Wiel http://www.sxc.hu/photo/757748 mouse (コンピューター) -- Alen Stojanac http://www.sxc.hu/photo/206809
スライド 4: 万里の長城 -- Webnut Shen http://www.sxc.hu/photo/777650 家の中にある壁 -- Maciej Nitka http://www.latimeria.pl/ni
スライド 5: 背景 -- Svilen Milev http://www.sxc.hu/photo/1158788
スライド 6, 7: ジャナ・レヴィン, 『宇宙が奏でる音』
スライド 9, 12, 14 -- NASA/ESA/STScI
スライド 10: Yassine Mrabet
スライド 13: レーン -- Library of Congress, LOT 13407, no. 025 トーラス -- Endolith http://www.endolith.com
スライド 16: 文章と画像 by Paul J Shulte http://sols.unlv.edu/Schulte/Astronomy/SBb.html
スライド 17: 背景 -- Richard Styles http://www.sxc.hu/photo/605324

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English
Team:
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Project:
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07:39

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