WEBVTT

00:00:09.268 --> 00:00:13.928
お招きいだだきありがとうございます。

00:00:13.928 --> 00:00:17.522
私の活動や視点や構想をお話しできる事を

00:00:17.522 --> 00:00:19.963
うれしく思います。

00:00:19.963 --> 00:00:24.875
まず３月１１までの、そしてその後の道程について

00:00:24.875 --> 00:00:28.925
お話したいと思います。

00:00:28.925 --> 00:00:30.693
わたしはこの日付で始めなければなりません。

00:00:30.709 --> 00:00:33.215
８月６日です。

00:00:33.215 --> 00:00:37.757
ほとんどの方々がこの日付をご存知のことと思います。

00:00:37.757 --> 00:00:41.426
我が国は原爆を落とされた最初の国ですが、

00:00:41.426 --> 00:00:45.232
この日に、広島に原爆が落とされました。

00:00:45.232 --> 00:00:50.668
本当に悲劇的で悲しく、私達が共有する記憶です。

00:00:50.668 --> 00:00:57.027
そして３日後、二番目の原爆が長崎に落とされました。

00:00:57.027 --> 00:01:04.918
少し変な事が、また興味深い事があります。

00:01:04.918 --> 00:01:11.386
二つも原爆を落とされた最初の国が、

00:01:11.386 --> 00:01:14.196
核エネルギーへと突き進みました。

00:01:14.196 --> 00:01:16.955
私達は５５基の原発を建設し、

00:01:16.955 --> 00:01:23.342
３５％の電力は原子力で作られていました。

00:01:23.342 --> 00:01:27.507
３月１１日までは。

00:01:27.507 --> 00:01:32.425
私達はみな、３月１１日を知っています。

00:01:32.425 --> 00:01:35.541
それは三番目の原爆を

00:01:35.541 --> 00:01:38.658
自分達自身によって落としたも同然です。

00:01:38.658 --> 00:01:45.983
一つ指摘しておくべきことは、

00:01:45.983 --> 00:01:48.564
私達は放射性物質や放射線を

00:01:48.564 --> 00:01:51.500
正しく心配する必要があるということです。

00:01:51.500 --> 00:01:55.047
心配し過ぎないことも大切です。

00:01:55.047 --> 00:01:58.277
私達はこの惨事から回復するためには

00:01:58.277 --> 00:02:00.617
本当に助けが必要です。

00:02:00.617 --> 00:02:02.701
私達の社会を再建するために。

00:02:02.701 --> 00:02:05.298
とにかく日本を避けないでください。

00:02:05.298 --> 00:02:14.366
１９７９年には、私は原子力工学を学んでいました。

00:02:14.366 --> 00:02:18.614
京都大学の学生でした。

00:02:18.614 --> 00:02:26.859
その頃、私は科学少年でした。

00:02:26.859 --> 00:02:30.003
原子力は世界のエネルギー問題を

00:02:30.003 --> 00:02:32.609
部分的にでも解決できると

00:02:32.609 --> 00:02:35.086
素朴に考えていました。

00:02:35.086 --> 00:02:41.093
しかしその年、スリーマイル島の事故が起きました。

00:02:41.093 --> 00:02:44.996
原子力では解決できないかもしれない、

00:02:44.996 --> 00:02:50.421
むしろ問題を引き起こすかもしれない、と思いました。

00:02:50.421 --> 00:02:59.246
１９８６年、既に私は原子力業界で働いていました。

00:02:59.246 --> 00:03:05.078
また政府の原子力安全委員会でも働いており、

00:03:05.078 --> 00:03:11.667
また電力業界の原子力部門でも働いていました。

00:03:11.667 --> 00:03:19.643
福島第一原発の使用済み燃料関連の仕事もしました。

00:03:19.643 --> 00:03:21.866
問題を起こした使用済み燃料プールではなく、

00:03:21.866 --> 00:03:25.045
ドライストレージ施設の仕事でしたが、

00:03:25.045 --> 00:03:29.606
福島第一原発に何度か行きました。

00:03:29.606 --> 00:03:34.966
この年、ご存知のチェルノブイリの事故が起こりました。

00:03:34.966 --> 00:03:36.901
この事故の後でさえ、

00:03:36.901 --> 00:03:40.071
日本の原子力コミュニティは

00:03:40.071 --> 00:03:43.140
原子力を推進し続けました。

00:03:43.140 --> 00:03:47.748
私は少しいらいらし、納得できない思いでした。

00:03:47.748 --> 00:03:50.600
原子力コミュニティの中にいることで。

00:03:50.600 --> 00:03:53.649
だれも本気で原子力の

00:03:53.649 --> 00:03:56.699
本当の安全について考えていないのです。

00:03:56.699 --> 00:04:01.626
だれも原子力そのものに疑っていませんでした。

00:04:01.626 --> 00:04:07.427
いわゆる「原子力村」の中は空っぽでした。

00:04:07.427 --> 00:04:14.799
１９９２年、私は原子力のキャリアをすべて投げ捨て、

00:04:14.799 --> 00:04:18.296
スウェーデンに、

00:04:18.296 --> 00:04:22.993
エネルギーと環境政策を学びに行きました。

00:04:22.993 --> 00:04:28.852
国民投票で原子力の放棄を決定した後の社会が、

00:04:28.852 --> 00:04:32.618
実際にどのようなものであるかを学びました。

00:04:32.618 --> 00:04:35.085
１９９２年のことです。

00:04:35.085 --> 00:04:38.065
その年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで

00:04:38.065 --> 00:04:43.529
第二回の環境サミットが開催されました。

00:04:43.529 --> 00:04:47.635
その時ヨーロッパ、とりわけスウェーデンや

00:04:47.635 --> 00:04:49.868
他の北欧諸国では、

00:04:49.868 --> 00:04:56.552
エネルギーや環境の革命が始まりました。

00:04:56.552 --> 00:05:00.963
１９９０年には炭素税が導入されましたし、

00:05:00.963 --> 00:05:07.204
電力市場の改革、原子力の削減や廃止、

00:05:07.204 --> 00:05:12.994
再生可能エネルギーの促進や革命が始まりました。

00:05:12.994 --> 00:05:15.751
１９９０年にドイツが

00:05:15.751 --> 00:05:18.430
フィード・イン・タリフ、固定価格買い取り制度を

00:05:18.430 --> 00:05:20.533
導入したからです。

00:05:20.533 --> 00:05:23.544
これほどまでに、政治や政策によって

00:05:23.544 --> 00:05:26.786
社会が変わっていくのかということに

00:05:26.786 --> 00:05:28.903
驚きました。

00:05:28.903 --> 00:05:34.301
そして頭の中に、構想や使命が降りてきました。

00:05:34.301 --> 00:05:38.099
自分の原子力のキャリアの後にすべき事が分かったのです。

00:05:38.099 --> 00:05:42.254
私は決心して日本に戻り、

00:05:42.254 --> 00:05:48.097
一人でエネルギー革命を始めました。

00:05:48.097 --> 00:05:54.120
そのときは、気候変動サミットの京都会議の１年後でした。

00:05:54.120 --> 00:05:57.238
日本は原子力の妄想に強くしがみついています。

00:05:57.238 --> 00:05:59.814
そのとき、日本政府は

00:05:59.891 --> 00:06:01.597
２０１０年までにさらに２０基の

00:06:01.597 --> 00:06:03.191
原発を建設すると宣言していました。

00:06:03.191 --> 00:06:05.274
それはまさしく妄想でした。

00:06:05.274 --> 00:06:11.078
原子力について賛成や反対の激しい議論が行われましたが、

00:06:11.078 --> 00:06:13.082
しかしその議論の中には

00:06:13.082 --> 00:06:15.086
本当の政策がまったくありませんでした。

00:06:15.086 --> 00:06:18.323
そのため私は自然エネルギー促進法の法案を書きました。

00:06:18.323 --> 00:06:21.230
そして、この法案に賛成するよう

00:06:21.230 --> 00:06:24.138
与野党ともに働きかけを行いました。

00:06:24.138 --> 00:06:26.952
それはまずまず成功しました。

00:06:26.952 --> 00:06:30.383
超党派の議員グループができましたが、

00:06:30.383 --> 00:06:33.411
官僚機構に妨害されました。

00:06:33.411 --> 00:06:36.852
また電力独占体制によっても妨害されました。

00:06:36.852 --> 00:06:38.993
しかし日本以外では、

00:06:38.993 --> 00:06:43.797
再生可能エネルギーは第４の革命になりつつありました。

00:06:43.797 --> 00:06:46.084
過去１０年間において、

00:06:46.084 --> 00:06:50.568
再生可能エネルギーは本当に普及しました。

00:06:50.568 --> 00:06:56.406
去年末の時点で既に、風力、バイオマス、太陽エネルギーが

00:06:56.406 --> 00:06:59.580
原子力の発電容量を超しました。

00:06:59.580 --> 00:07:05.002
昨年、再生可能エネルギーへの投資総額は、

00:07:05.002 --> 00:07:07.467
化石燃料と原子力への投資総額を超えました。

00:07:07.467 --> 00:07:13.793
過去１０年間で２０倍に増えました。

00:07:13.793 --> 00:07:17.889
ただ一国、日本だけが取り残されました。

00:07:17.889 --> 00:07:22.523
原子力妄想のためです。

00:07:22.523 --> 00:07:30.351
しかし日本の原子力の現状を直視しなければなりません。

00:07:30.351 --> 00:07:33.686
３月１１日の惨事の後、

00:07:33.701 --> 00:07:37.024
原子力の発電能力は急激に落ち込みました。

00:07:37.024 --> 00:07:43.044
もはや２０％以下の電力しか原子力は供給していません。

00:07:43.044 --> 00:07:48.951
今後１０年間、それらは少しずつ減っていきます。

00:07:48.951 --> 00:07:52.126
なぜなら日本の原発は古いものが多いからです。

00:07:52.126 --> 00:07:56.446
今から１０年後には高々１０％となるでしょう。

00:07:56.446 --> 00:07:59.919
あるいは決断できれば１０年後には

00:07:59.919 --> 00:08:04.673
原子力をフェードアウトできているかもしれません。

00:08:04.673 --> 00:08:08.496
さて再び３月１１日に注目しましょう。

00:08:08.496 --> 00:08:14.150
歴史に残る政治的偶然が起こりました。

00:08:14.150 --> 00:08:18.231
今年の３月１１日の午前中、

00:08:18.231 --> 00:08:24.728
再生可能エネルギー法案が閣議決定されました。

00:08:24.728 --> 00:08:29.439
現在、議会に送られています。

00:08:29.439 --> 00:08:33.944
６月には国会を通過するかどうか、という状況です。

00:08:33.944 --> 00:08:37.855
私達は再生可能エネルギー法を成立させるかどうかの

00:08:37.855 --> 00:08:40.182
瀬戸際にいるのです。

00:08:40.182 --> 00:08:41.925
この法案を成立させられれば、

00:08:41.925 --> 00:08:44.800
原子力から再生可能エネルギーへの大きなシフトを

00:08:44.800 --> 00:08:47.423
実現できることになります。

00:08:47.423 --> 00:08:52.349
ドイツやスウェーデンやスペインなどのように。

00:08:52.349 --> 00:08:56.509
もし再生可能エネルギー法案を成立させられなければ、

00:08:56.509 --> 00:09:02.538
原子力惨事や原子力妄想は続く事になります。

00:09:02.538 --> 00:09:07.664
したがってこの再生可能エネルギー法を成立させるため

00:09:07.664 --> 00:09:11.736
あなた達の助けが本当に必要なのです。

00:09:11.736 --> 00:09:17.364
電話を掛ける事、メールを送る事、ブログを書く事

00:09:17.364 --> 00:09:20.940
その他、議会に働きかけるために、

00:09:20.940 --> 00:09:24.979
出来る事はなんでもやって、

00:09:25.025 --> 00:09:30.472
運動を起こしてください。

00:09:30.472 --> 00:09:36.414
現在、将来やチャンスは私達の手の中にあります。

00:09:36.414 --> 00:09:40.418
私は、あなた達が日本の将来に対する手助けを

00:09:40.418 --> 00:09:42.819
してくださることを願っています。

00:09:42.834 --> 00:09:45.710
私達の未来がよりグリーンになりますように。

00:09:45.710 --> 00:09:48.368
ありがとうございました。