WEBVTT 00:00:15.088 --> 00:00:21.142 過去数世紀に渡って 顕微鏡は世界を変えてきました 00:00:23.204 --> 00:00:27.563 小さすぎて肉眼では見えない 物や生物や構造の世界を 00:00:27.563 --> 00:00:30.567 顕微鏡が明らかにし 00:00:30.567 --> 00:00:34.064 科学や技術に対して 大いなる貢献をしました 00:00:34.064 --> 00:00:37.839 今日ご紹介したいのは 新しいタイプの顕微鏡 00:00:37.839 --> 00:00:40.230 「変化を見る顕微鏡」です 00:00:40.230 --> 00:00:43.438 普通の顕微鏡のように 光学的に小さなものを大きく 00:00:43.438 --> 00:00:45.350 見せるのではなく 00:00:45.350 --> 00:00:49.673 ビデオと画像処理を使って 00:00:49.673 --> 00:00:54.387 肉眼では見えないような 人や物の微細な動きや 00:00:54.526 --> 00:00:58.368 色の変化を 見えるようにします 00:00:58.906 --> 00:01:02.970 これは世界に対する まったく別の見方を与えてくれます 00:01:03.295 --> 00:01:05.715 色の変化とは どんなものかですが 00:01:07.093 --> 00:01:09.896 例えば人の肌というのは 血の流れに応じて 00:01:09.896 --> 00:01:12.211 色がかすかに変化します 00:01:12.211 --> 00:01:14.443 これはとても 微妙な変化であるため 00:01:14.443 --> 00:01:16.872 隣に座っている人を 見たところで 00:01:16.872 --> 00:01:19.171 肌や顔の色が 00:01:19.171 --> 00:01:21.920 変わっているようには 見えません 00:01:21.920 --> 00:01:27.150 このスティーブの映像を見ても 静止画のように見えます 00:01:27.849 --> 00:01:31.292 しかし私達の新しい顕微鏡を 通して見ると 00:01:31.292 --> 00:01:34.550 まったく異なる イメージが現れます 00:01:35.276 --> 00:01:39.200 肌の色の小さな変化を 100倍増幅することで 00:01:39.200 --> 00:01:43.087 目で見て分かる ようにしています 00:01:43.539 --> 00:01:46.259 脈拍を見て取る こともできます 00:01:46.554 --> 00:01:49.729 心拍の早さだけでなく 00:01:49.729 --> 00:01:53.994 顔を血がどう流れているかも 分かります 00:01:55.152 --> 00:01:58.055 脈拍を可視化 できるだけでなく 00:01:58.055 --> 00:02:01.448 心拍数を正確に 00:02:01.448 --> 00:02:03.510 計測することもできます 00:02:03.510 --> 00:02:07.692 普通のカメラでできて 患者に触れる必要もありません 00:02:07.692 --> 00:02:12.768 ここでは普通のDSLRカメラで撮った 新生児の映像から 00:02:12.768 --> 00:02:16.250 脈拍と心拍数を 取り出しています 00:02:16.250 --> 00:02:18.364 これで計測した心拍数は 00:02:18.364 --> 00:02:22.588 病院にある通常の計器によるのと 同様の正確さがあります 00:02:23.384 --> 00:02:26.457 映像も自分で撮ったもの である必要はなく 00:02:26.457 --> 00:02:29.391 既存のビデオを使うこともできます 00:02:29.391 --> 00:02:32.565 これは『バットマン ビギンズ』の一場面から 00:02:32.565 --> 00:02:35.226 クリスチャン・ベールの心拍が 見えるようにしたものです(笑) 00:02:35.226 --> 00:02:37.282 クリスチャン・ベールの心拍が 見えるようにしたものです(笑) 00:02:37.282 --> 00:02:39.417 映画なのでメークも しているだろうし 00:02:39.417 --> 00:02:41.389 光の条件にも 難しい面がありますが 00:02:41.389 --> 00:02:44.392 それでも映像から 彼の心拍を 00:02:44.392 --> 00:02:46.224 非常にうまく 取り出せています 00:02:46.224 --> 00:02:47.995 どうやっているのかですが 00:02:47.995 --> 00:02:52.315 ビデオのそれぞれの ピクセルに記録された 00:02:52.315 --> 00:02:54.928 光の時間的変化を分析し 00:02:54.928 --> 00:02:56.648 その変化を拡大しています 00:02:56.648 --> 00:02:59.494 変化が見て分かるくらいに 大きくするわけです 00:02:59.494 --> 00:03:01.576 難しいのは 捉えたい変化が 00:03:01.576 --> 00:03:04.359 非常に小さなものだ ということで 00:03:04.359 --> 00:03:07.353 その変化を 録画につきもののノイズから 00:03:07.353 --> 00:03:10.240 注意深く分離する 必要があります 00:03:10.240 --> 00:03:13.682 それぞれのピクセルの ごく正確な色を得るために 00:03:13.682 --> 00:03:17.736 巧妙な画像処理を 行っています 00:03:17.736 --> 00:03:20.569 それから色の 時間変化の仕方を捉え 00:03:20.569 --> 00:03:23.227 それを拡大して 00:03:23.227 --> 00:03:27.081 変化が目で見て分かるよう 変化の強調された 00:03:27.081 --> 00:03:29.552 映像を作ります 00:03:32.007 --> 00:03:36.227 このようにして見えるようにできるものには 微細な色の変化だけでなく 00:03:36.227 --> 00:03:38.379 微細な動きもあります 00:03:38.379 --> 00:03:42.064 カメラに記録される光は 色の変化によってだけでなく 00:03:42.064 --> 00:03:45.189 物の動きによっても 00:03:45.189 --> 00:03:47.305 変化するからです 00:03:47.905 --> 00:03:52.543 これは生後2ヶ月の頃の 私の娘です 00:03:56.157 --> 00:03:59.397 3年ほど前に 録画したものです 00:03:59.397 --> 00:04:02.807 親になったばかりの人は 赤ちゃんが健康か 息をしているか 00:04:02.807 --> 00:04:05.373 生きているか いつも気にかけています 00:04:05.373 --> 00:04:07.465 私も娘の眠っている姿を 見られるよう 00:04:07.465 --> 00:04:10.072 ベビーモニターを 買いました 00:04:10.072 --> 00:04:13.590 普通のベビーモニターで見られるのは このような映像です 00:04:13.590 --> 00:04:15.686 眠っている様子は分かりますが 00:04:15.686 --> 00:04:17.728 情報は大して得られません 00:04:17.728 --> 00:04:19.516 見て分かる事は 殆どありません 00:04:19.516 --> 00:04:22.358 もしこんな風に 見えたとしたら 00:04:22.358 --> 00:04:25.261 もっと情報が得られて 有用ではないでしょうか? 00:04:25.261 --> 00:04:30.310 動きを30倍拡大することで 娘の動きがはっきり見て取れるようになりました 00:04:31.217 --> 00:04:33.708 これで娘が確かに生きて 00:04:33.708 --> 00:04:35.428 呼吸しているのが分かります 00:04:35.428 --> 00:04:37.565 (笑) 00:04:38.092 --> 00:04:39.891 並べて比較したところですが 00:04:39.891 --> 00:04:42.440 元々のビデオでは 00:04:42.440 --> 00:04:44.260 動きが分かりません 00:04:44.260 --> 00:04:48.212 しかし動きを拡大した映像では 呼吸の様子がよく分かります 00:04:48.212 --> 00:04:50.801 この「変化を見る顕微鏡」によって 00:04:50.801 --> 00:04:54.474 明らかにできる身の回りの現象は たくさんあります 00:04:54.474 --> 00:04:58.909 体の中で静脈や動脈が どう脈打っているか分かります 00:04:59.752 --> 00:05:02.560 目が絶えずユラユラ 動いていることも 00:05:02.560 --> 00:05:04.776 よく分かります 00:05:04.776 --> 00:05:06.354 これは私の目で 00:05:06.354 --> 00:05:09.414 娘が生まれた頃に 撮ったので 00:05:09.414 --> 00:05:13.103 あまり寝ていないのが 分かるかと思います(笑) 00:05:13.539 --> 00:05:16.403 じっと座っている人からでさえ 00:05:16.403 --> 00:05:18.997 多くの情報が得られます 00:05:18.997 --> 00:05:21.989 呼吸のパターンとか 小さな顔の表情とか 00:05:22.672 --> 00:05:24.623 このような動きから 00:05:24.623 --> 00:05:27.488 その人の思っていることや 感情も分かるかもしれません 00:05:29.003 --> 00:05:32.385 エンジンの振動のような 小さな機械の動きも 00:05:32.385 --> 00:05:34.337 拡大して見えるようにできます 00:05:34.337 --> 00:05:38.017 機械の問題の検出や診断を技術者がするのに 役立つかもしれません 00:05:40.130 --> 00:05:45.547 建物や構造物が風に揺れたり 反発したりする様子も見て取れます 00:05:45.547 --> 00:05:50.333 こういった動きを計測する方法なら 以前からありましたが 00:05:50.333 --> 00:05:52.875 その動いている様子を 00:05:52.875 --> 00:05:55.479 実際に目で見えるようにする というのは 00:05:55.479 --> 00:05:57.614 また別の話になります 00:05:58.450 --> 00:06:02.021 私達はこの技術を開発して以来 00:06:02.021 --> 00:06:03.723 ネット上でプログラムを公開して 00:06:03.723 --> 00:06:06.269 誰でも実験できるようにしています 00:06:08.005 --> 00:06:09.809 とても簡単に使え 00:06:09.809 --> 00:06:11.853 自分のビデオで 試すことができます 00:06:11.853 --> 00:06:15.357 私達の協力者のQuanta Researchは ご覧のようなサイトも用意していて 00:06:15.357 --> 00:06:18.036 ビデオをアップするだけで 結果を見られます 00:06:18.036 --> 00:06:21.603 だからコンピュータサイエンスや プログラミングの知識がまったくなくても 00:06:21.603 --> 00:06:24.509 簡単にこの顕微鏡で 実験ができます 00:06:24.509 --> 00:06:26.941 これを使ってみんなが どんなことをしているのか 00:06:26.941 --> 00:06:28.919 いくつかご覧に入れましょう 00:06:32.363 --> 00:06:37.259 このビデオはTomez85という YouTubeユーザーが作ったもので 00:06:37.259 --> 00:06:38.807 どういう人なのか知りませんが 00:06:38.807 --> 00:06:41.105 私達のプログラムを使って 00:06:41.105 --> 00:06:43.910 妊婦のお腹の動きを 拡大しています 00:06:44.933 --> 00:06:46.420 ちょっと不気味ですね 00:06:46.420 --> 00:06:48.818 (笑) 00:06:48.818 --> 00:06:52.782 ここでは手の静脈の拍動を 拡大しています 00:06:53.532 --> 00:06:56.699 しかしモルモットを使わなくちゃ 科学っぽくなりませんよね 00:06:58.037 --> 00:07:00.584 このモルモットは ティファニーという名前で 00:07:00.584 --> 00:07:04.007 作者はこれが 微細な動きを拡大された 00:07:04.007 --> 00:07:05.780 最初の齧歯類だと 主張しています 00:07:06.604 --> 00:07:08.811 美術作品を作ることもできます 00:07:08.811 --> 00:07:12.123 イェール大のデザイン科の学生が 送ってきたもので 00:07:12.123 --> 00:07:14.516 友人の身動きの仕方に 違いがあるか 00:07:14.516 --> 00:07:16.072 知りたかったのだそうです 00:07:16.072 --> 00:07:20.361 じっとしているように頼んで それから動きを拡大したものです 00:07:20.361 --> 00:07:23.457 写真が動き始めたみたいな 感じがします 00:07:23.714 --> 00:07:26.077 これらの例の良いところは 00:07:26.077 --> 00:07:28.315 我々自身何もする必要が なかったことです 00:07:28.315 --> 00:07:32.165 ただ新しい道具と 世界を見る新しい方法を提供するだけで 00:07:32.165 --> 00:07:36.683 いろんな人が新しくて面白い 創造的な使い方を見つけてくれます 00:07:37.735 --> 00:07:39.620 しかしそれで終わりではありません 00:07:40.943 --> 00:07:44.597 このツールは世界に対し 新しい見方ができるようにするだけでなく 00:07:44.597 --> 00:07:47.034 カメラで出来ることを再定義し 00:07:47.034 --> 00:07:50.232 可能性の限界を 押し広げもします 00:07:50.232 --> 00:07:52.611 科学者として 私達は考え始めました 00:07:52.611 --> 00:07:56.299 カメラで計測できる 微細な動きを生み出す物理現象として 00:07:56.299 --> 00:07:59.212 他にどんなものがあるだろう? 00:07:59.212 --> 00:08:02.635 そのような現象の1つとして 我々が最近取り組んでいるのが「音」です 00:08:03.664 --> 00:08:05.963 音というのは基本的に 00:08:05.963 --> 00:08:08.134 空気中を伝わる空気圧の変化です 00:08:08.134 --> 00:08:11.857 圧力の波が物にぶつかる時 小さな振動を生じ 00:08:11.857 --> 00:08:14.519 それを使って私達は音を聞いたり 録音したりしています 00:08:14.519 --> 00:08:18.294 しかし音は視覚的な 動きも作り出します 00:08:18.579 --> 00:08:21.303 肉眼では見えなくとも 00:08:21.303 --> 00:08:24.229 カメラを使って適切に処理すれば 見えるようになります 00:08:24.229 --> 00:08:26.045 例を2つお見せします 00:08:26.045 --> 00:08:29.374 これは私が素晴らしい歌唱力を 披露しているところです 00:08:30.845 --> 00:08:33.602 アー 00:08:33.602 --> 00:08:34.710 (笑) 00:08:34.710 --> 00:08:37.706 声を出している時の喉を 高速度カメラで撮影しました 00:08:37.706 --> 00:08:39.355 元の映像を見ても 00:08:39.355 --> 00:08:41.386 ほとんど動きは見られませんが 00:08:41.386 --> 00:08:45.793 動きを100倍拡大してやると 発声に関わる首の部分に 00:08:45.793 --> 00:08:49.103 波のような動きが広がっているのが 分かります 00:08:49.103 --> 00:08:51.528 音の痕跡が映像に 残されているわけです 00:08:51.528 --> 00:08:54.228 歌手は特定の音程の声を出して グラスを割れる 00:08:54.228 --> 00:08:56.274 という話は 良く知られています 00:08:56.274 --> 00:08:58.325 ここではグラスの 00:08:58.325 --> 00:09:00.849 共鳴周波数の音を 00:09:00.849 --> 00:09:03.125 横のスピーカーから 出しています 00:09:03.125 --> 00:09:07.568 その時の動きを 250倍拡大すると 00:09:07.568 --> 00:09:10.789 グラスが音に共鳴して 振動しているのが 00:09:10.789 --> 00:09:13.623 はっきり分かります 00:09:14.132 --> 00:09:16.545 あまり日常で目にする光景では ありませんね 00:09:16.545 --> 00:09:19.408 外にデモを用意してあるので 00:09:19.408 --> 00:09:21.300 後でぜひ覗いて 00:09:21.300 --> 00:09:24.347 いじってみてください 実際に体験できます 00:09:24.608 --> 00:09:27.768 しかしここから 突飛なアイデアを思いつきました 00:09:28.078 --> 00:09:32.865 この過程を逆にして 映像から音を 復元できないでしょうか? 00:09:33.454 --> 00:09:37.581 音波が物の表面に作り出す 微細な振動を解析して 00:09:37.581 --> 00:09:41.898 元になった音を 生成するのです 00:09:42.548 --> 00:09:46.472 そのようにすれば 身の回りにある物を マイクに変えることができます 00:09:47.958 --> 00:09:49.595 私達はまさにそれを やってみました 00:09:49.595 --> 00:09:52.462 テーブルの上にポテトチップの 空き袋があります 00:09:52.462 --> 00:09:55.234 これをビデオ撮影して 音により生じた — 00:09:55.234 --> 00:09:57.145 微細な動きを 解析することで 00:09:57.145 --> 00:10:00.914 ポテトチップの袋をマイクロフォンに 変えようというわけです 00:10:01.479 --> 00:10:04.242 この部屋では こんな音楽を流しています 00:10:04.242 --> 00:10:07.634 (曲『メリーさんのひつじ』) 00:10:12.476 --> 00:10:15.426 そしてポテトチップの袋を 高速度カメラで撮影しました 00:10:15.426 --> 00:10:16.528 これを見ても 00:10:16.528 --> 00:10:19.886 何かが起きているようには 00:10:19.886 --> 00:10:21.000 見えませんが 00:10:21.000 --> 00:10:23.962 映像の中の微細な動きを 解析することで 00:10:23.962 --> 00:10:26.273 このような音を 再現できました 00:10:27.127 --> 00:10:30.494 (曲『メリーさんのひつじ』) 00:10:44.607 --> 00:10:46.458 私はこれを— 00:10:46.458 --> 00:10:49.328 (拍手) 00:10:53.834 --> 00:10:56.140 「ビジュアル・マイクロフォン」 と呼んでいます 00:10:56.140 --> 00:10:59.251 ビデオ信号からオーディオ信号を 取り出しているのです 00:10:59.251 --> 00:11:02.435 動きの大きさが どれくらいかというと 00:11:02.435 --> 00:11:06.696 かなり大きな音でも ポテトチップの袋の動きは 00:11:06.696 --> 00:11:09.266 1ミクロン未満です 00:11:09.807 --> 00:11:12.485 1ミリの千分の1です 00:11:12.485 --> 00:11:16.179 そのような小さな動きでも 00:11:16.179 --> 00:11:19.282 映像の中で物に反射する光を 観察することによって 00:11:19.282 --> 00:11:21.704 検出できるのです 00:11:22.208 --> 00:11:25.358 他の物を使うこともできます たとえば植物とか 00:11:25.986 --> 00:11:29.183 (曲『メリーさんのひつじ』) 00:11:34.153 --> 00:11:36.456 声を復元することもできます 00:11:36.456 --> 00:11:38.817 こちらでは部屋の中で 人が話しています 00:11:38.817 --> 00:11:43.632 Mary had a little lamb whose fleece was white as snow, (メリーさんは小さな羊を飼っていた 雪のように白い毛をして) 00:11:43.632 --> 00:11:47.570 and everywhere that Mary went, that lamb was sure to go. (メリーさんの行くところは どこにでも付いてきた) 00:11:48.722 --> 00:11:51.486 前と同じ ポテトチップの袋の映像から 00:11:51.486 --> 00:11:54.220 復元した声です 00:11:54.220 --> 00:11:59.211 Mary had a little lamb whose fleece was white as snow, 00:11:59.211 --> 00:12:03.731 and everywhere that Mary went, that lamb was sure to go. 00:12:04.352 --> 00:12:06.907 『メリーさんのひつじ』を使ったのは 00:12:06.907 --> 00:12:09.252 エジソンが1877年に 蓄音機で 00:12:09.252 --> 00:12:13.053 最初に録音したのが この歌だったからです 00:12:13.053 --> 00:12:16.565 それは音を記録する 最初の装置の1つでした 00:12:16.565 --> 00:12:19.842 音を振動板で受け 00:12:19.842 --> 00:12:24.270 その振動を針に伝え それが筒に巻いたアルミ箔に 00:12:24.270 --> 00:12:26.565 記録される仕掛けでした 00:12:26.565 --> 00:12:29.679 これはエジソンの蓄音機で 00:12:29.679 --> 00:12:32.446 録音し再生するデモです 00:12:33.549 --> 00:12:36.487 (録音)Testing, testing, one two three. 00:12:36.487 --> 00:12:39.654 Mary had a little lamb whose fleece was white as snow, 00:12:39.654 --> 00:12:43.491 and everywhere that Mary went, the lamb was sure to go. 00:12:43.491 --> 00:12:46.014 (再生)Testing, testing, one two three. 00:12:46.014 --> 00:12:50.103 Mary had a little lamb whose fleece was white as snow, 00:12:50.103 --> 00:12:54.235 and everywhere that Mary went, the lamb was sure to go. 00:12:55.719 --> 00:12:59.081 137年後の今日 00:13:00.334 --> 00:13:03.492 音に振動する物の映像だけから 同程度のクオリティの音を 00:13:03.492 --> 00:13:07.559 再現できるようになりました 00:13:07.853 --> 00:13:09.952 しかも防音ガラスの 向こう側にある 00:13:09.952 --> 00:13:13.631 5メートル離れた物を使って それができるのです 00:13:14.178 --> 00:13:17.475 そうやって復元した音がこれです 00:13:17.475 --> 00:13:22.282 Mary had a little lamb whose fleece was white as snow, 00:13:22.282 --> 00:13:26.993 and everywhere that Mary went, the lamb was sure to go. 00:13:28.111 --> 00:13:31.711 すぐ思いつく応用は スパイ活動でしょう 00:13:31.711 --> 00:13:33.993 (笑) 00:13:33.993 --> 00:13:38.055 しかし他のことにも使えます 00:13:38.095 --> 00:13:41.196 もしかしたら 将来宇宙の向こうの音を 00:13:41.196 --> 00:13:43.557 再現できるように なるかもしれません 00:13:43.557 --> 00:13:46.569 音は宇宙を伝わりませんが 光なら伝わるからです 00:13:47.166 --> 00:13:49.525 私達は この新しい技術の可能性を 00:13:49.525 --> 00:13:52.509 探り始めたばかりです 00:13:52.509 --> 00:13:55.288 これまで存在するのは 知っていたけれど 00:13:55.288 --> 00:13:59.575 自分の目で見られなかった物理現象を 見えるようにしてくれるのです 00:14:00.677 --> 00:14:01.917 これが私の仲間です 00:14:01.917 --> 00:14:04.767 今日お見せしたものは みんなここに出ている人達の 00:14:04.767 --> 00:14:06.864 協力の結果 得られたものです 00:14:06.864 --> 00:14:10.484 みなさんにもぜひ 私達のウェブサイトを訪れ 00:14:10.484 --> 00:14:12.017 自分で試してみて 00:14:12.017 --> 00:14:15.263 一緒に微細な動きの世界を 探索していただきたいと思います 00:14:15.263 --> 00:14:16.700 ありがとうございました 00:14:16.700 --> 00:14:18.726 (拍手)