WEBVTT 00:00:18.479 --> 00:00:20.362 おはようございます ティム・モーリーです 00:00:20.362 --> 00:00:23.630 本日お話したいのは 00:00:23.630 --> 00:00:25.991 小学生たちが外国語に接する 00:00:26.011 --> 00:00:29.252 革新的な方法についてです 00:00:29.252 --> 00:00:32.063 現在イギリスの多くの小学校では 00:00:32.063 --> 00:00:35.389 すばらしいことに 外国語がカリキュラムに含まれていますが 00:00:35.389 --> 00:00:38.246 技能の格差が存在します 00:00:38.246 --> 00:00:42.337 多くの小学校の先生は 00:00:42.337 --> 00:00:45.998 とても効率がよく やる気があり 訓練されていて すばらしいのですが 00:00:45.998 --> 00:00:49.091 ほとんどの先生は外国語を話しません 00:00:49.091 --> 00:00:51.921 もちろん外国語の教え方の トレーニングも受けたことはありません 00:00:51.921 --> 00:00:54.393 中学校には 00:00:54.393 --> 00:00:56.865 外国語の先生が 全国統一試験(GCSE)向けのクラスで 00:00:56.865 --> 00:00:59.337 すばらしい授業をしてくれているのですが 00:00:59.337 --> 00:01:01.721 7歳児を前にすると 00:01:01.721 --> 00:01:04.370 どう接していいかわからないのです 00:01:04.370 --> 00:01:08.403 なので関わりたくないというのも分かります 00:01:08.403 --> 00:01:14.116 これが技能の格差です 私がここ数年携わっている 00:01:14.116 --> 00:01:19.270 「多言語への踏み台」というプロジェクトで 00:01:19.270 --> 00:01:26.237 小学生にエスペラントを教えようと 取り組んでいます 00:01:26.237 --> 00:01:30.962 この講演のタイトルには 少なくとも疑いの目を向ける 00:01:30.962 --> 00:01:34.603 親御さんたちが いらっしゃるのではないでしょうか 00:01:34.603 --> 00:01:36.453 「私の子供に何を教えるですって?」 00:01:36.453 --> 00:01:40.536 「いったい何?」「それはスペイン語か何か?」 「なぜそんなことを?」 00:01:40.536 --> 00:01:44.004 もっともな疑問です 今からそれに答えようと思います 00:01:44.004 --> 00:01:49.686 まず始めに これはエスペラントを 話せるようになるための授業ではありません 00:01:49.686 --> 00:01:52.304 流暢にエスペラントを話すようになった子供たちを 00:01:52.304 --> 00:01:54.220 世界に送り出し 日常やビジネスで 00:01:54.220 --> 00:01:56.121 エスペラントを使わせようとしているのではありません 00:01:56.121 --> 00:01:58.934 それが目的ではありません 00:01:58.934 --> 00:02:01.747 子供たちのほとんどは 00:02:01.747 --> 00:02:04.561 一生の中でエスペラントを話す人と 会うことはないでしょう 00:02:04.561 --> 00:02:06.922 それでいいのです それが目的ではありませんから 00:02:06.922 --> 00:02:10.935 では 何が目的なのか? これから説明します 00:02:10.935 --> 00:02:15.034 まず鍵となるのは 言語を意識することです 00:02:15.896 --> 00:02:20.534 エスペラントは私が経験したどの言語より 00:02:20.534 --> 00:02:23.368 簡単な言語です 00:02:23.368 --> 00:02:25.901 何カ国語かを 勉強したり 教えたこともあります 00:02:25.901 --> 00:02:30.900 エスペラントは 簡単で速く習得できるようにできていて 00:02:30.900 --> 00:02:34.007 私が知っているどの言語より 00:02:34.017 --> 00:02:36.218 10倍も習得が速く 簡単です 00:02:36.218 --> 00:02:39.318 なので子供たちは 暗記の段階を 00:02:39.318 --> 00:02:41.328 早々に成し遂げ 00:02:41.348 --> 00:02:46.450 創造的に言語を使用する段階に すぐにステップアップできます 00:02:46.450 --> 00:02:50.966 これにより 2つの言語を持ち 切り替えて使用したり 00:02:50.966 --> 00:02:53.820 2つの共通点を見つけたりすることで 00:02:53.820 --> 00:02:56.131 脳の体操になるのです 00:02:56.131 --> 00:02:59.664 簡単な言語に触れるだけで身につく 00:02:59.664 --> 00:03:01.995 これだけの技術が 00:03:01.995 --> 00:03:04.017 後に他の外国語の習得にも役に立つのです 00:03:04.017 --> 00:03:06.712 "包含的"な成功体験になります 00:03:06.712 --> 00:03:10.312 ”包含的”というのは どの学級でも 00:03:10.312 --> 00:03:13.395 ずっと多くの生徒が 00:03:13.395 --> 00:03:16.713 エスペラントを使えるようになり 00:03:16.713 --> 00:03:21.482 他の言語より有意義なことに エスペラントを使用できるという意味です 00:03:21.482 --> 00:03:24.912 そこで "包含的"な成功体験と呼ぶのです 00:03:24.912 --> 00:03:28.878 内容を理解してさえいただければ 00:03:28.878 --> 00:03:32.152 子供たちの反応や 先生 校長先生 親御さんからの意見 00:03:33.029 --> 00:03:36.255 それから学校の成績においても 00:03:36.255 --> 00:03:38.779 エスペラントを学ぶ良さがわかると思います 00:03:38.779 --> 00:03:41.112 カリキュラム計画の基盤となっている 00:03:41.112 --> 00:03:43.210 ブルーム分類学というものに目を向けて見ましょう 00:03:43.210 --> 00:03:47.312 下から順番に上へと説明します 00:03:47.312 --> 00:03:50.878 小学校の言語教育では 最初の段階で 00:03:50.878 --> 00:03:52.995 つまづいてしまうという問題があります 00:03:52.995 --> 00:03:57.161 暗記しないといけないことがたくさんあり 00:03:57.161 --> 00:03:59.780 活用や男性名詞 女性名詞 00:03:59.780 --> 00:04:01.967 スペルに発音― 00:04:01.967 --> 00:04:04.597 上級レベルにたどり着くまでには 00:04:04.597 --> 00:04:08.245 たくさんの暗記が必要になります 00:04:08.245 --> 00:04:13.514 小学校の外国語のクラスでは 00:04:13.514 --> 00:04:17.060 フランス語 スペイン語や中国語が教えられ 00:04:17.060 --> 00:04:19.128 最初の段階でつまづいてしまいます 00:04:19.128 --> 00:04:22.062 そして創造的な段階にたどり着かず 00:04:22.062 --> 00:04:24.645 子供たちは興味を失ってしまうのです 00:04:24.645 --> 00:04:28.229 エスペラントに関しては 暗記は必要最低限なので 00:04:28.229 --> 00:04:30.965 速く上級の 興味深い 楽しめる内容まで 00:04:30.965 --> 00:04:32.711 たどり着くことができます 00:04:32.711 --> 00:04:37.346 英語の読み書き― エスペラントの学習は子供の英語力も高めてくれます 00:04:37.346 --> 00:04:41.512 英語の読み書きに苦労している5歳児がいましたが 00:04:41.512 --> 00:04:44.852 エスペラントを読むことで 英語も読めるようになったのです 00:04:44.852 --> 00:04:48.461 エスペラントは英語よりずっと簡単なので 00:04:48.461 --> 00:04:51.104 読めるようになることで自信がつき 00:04:51.104 --> 00:04:52.630 英語にも取り組めたのです 00:04:52.630 --> 00:04:56.228 9歳児では 00:04:56.228 --> 00:04:58.877 「この文の中の形容詞に丸をつけなさい」 という課題に直面すると 00:04:58.877 --> 00:05:00.829 まず文を頭の中で 00:05:00.829 --> 00:05:02.881 エスペラントに翻訳します 00:05:02.881 --> 00:05:05.594 エスペラントではどれが形容詞かすぐ分かるからです 00:05:05.594 --> 00:05:08.427 このように第一言語の習得の手助けにもなるのです 00:05:08.427 --> 00:05:12.934 また数学についても エスペラントの数の表し方は 00:05:12.934 --> 00:05:16.895 数字の構成が明らかです 00:05:16.895 --> 00:05:19.527 5歳の子供が足し算や 10の位、1の位などを勉強する時に 00:05:19.527 --> 00:05:21.210 とても役に立ちます 00:05:21.210 --> 00:05:22.840 後ほど その例をいくつかお見せします 00:05:22.840 --> 00:05:25.844 エスペラントはこれらを全て可能にしてくれます 00:05:25.844 --> 00:05:28.727 おまけに 00:05:28.727 --> 00:05:30.177 外国の文化にまで触れることができます 00:05:30.177 --> 00:05:32.478 ―当然 外国語を学ぶきっかけの1つになりますね 00:05:32.478 --> 00:05:36.660 あるクラスではビデオ会議を通じて 00:05:36.660 --> 00:05:38.344 イギリスの教室と 00:05:38.344 --> 00:05:42.711 スロベニア ハンガリー ドイツの教室が 繋がっていました 00:05:42.711 --> 00:05:46.545 このような「コメニウスのプロジェクト」が たくさんあります 00:05:46.545 --> 00:05:49.210 コメニウスというのは 欧州委員会が 00:05:49.210 --> 00:05:51.943 ヨーロッパの小学生同士の交流を深めるために 00:05:51.943 --> 00:05:54.060 小学校に支給した支援金のことです 00:05:54.060 --> 00:05:56.060 コメニウスのいくつかのプロジェクトでは 00:05:56.060 --> 00:05:58.481 子供たちだけでなく大人にも 00:05:58.481 --> 00:06:00.960 エスペラントが共通語として使われます 00:06:00.960 --> 00:06:06.030 エスペラントのおかげでこんなクラスができるのです 00:06:06.138 --> 00:06:09.727 では 例えばですが 次のような事態を避けるにはどうしたらいいでしょう 00:06:09.865 --> 00:06:12.488 この男性はファゴットの演奏者です 00:06:13.185 --> 00:06:15.284 彼はファゴットの演奏をとても楽しんでいます 00:06:15.284 --> 00:06:16.935 それで生計も立てているとしましょうか 00:06:16.935 --> 00:06:19.076 もし自分の子供に 00:06:19.076 --> 00:06:22.666 プロのファゴット演奏者になってほしかったら 00:06:22.666 --> 00:06:25.607 1番いい方法は 7歳の子供には 00:06:25.607 --> 00:06:28.001 ファゴットを与えないことです 00:06:28.001 --> 00:06:30.178 「ほら ジョニー 演奏して!」と言っても 00:06:30.178 --> 00:06:31.435 無理です 00:06:31.435 --> 00:06:34.601 ファゴットは大きくて 大人でも扱いにくい楽器です 00:06:34.601 --> 00:06:36.983 子供の手ではなおさら演奏は困難です 00:06:36.983 --> 00:06:39.268 覚えることもたくさんあります 指づかいもたくさん覚えないといけません 00:06:39.268 --> 00:06:41.784 リードで音を出すのすら難しいし 00:06:41.784 --> 00:06:43.769 皆さんが聴きたいような メロディーを奏でるのはなおさらです 00:06:43.769 --> 00:06:47.739 なのでやってみようと思ったところで 6-12か月やってみて 00:06:47.739 --> 00:06:49.951 結局は「もうやりたくない」 00:06:49.951 --> 00:06:51.550 「僕にはできない」「音楽は向いてない」 00:06:51.550 --> 00:06:53.318 「音楽なんてやりたくない」となってしまうのです 00:06:53.318 --> 00:06:56.550 もちろん これは私たちのやり方ではありません 簡単なことから始めます 00:06:56.550 --> 00:06:59.768 皆さんにお聞きします 小学校でリコーダーを学んだことのある方は? 00:06:59.768 --> 00:07:02.018 もちろん私もです 00:07:02.018 --> 00:07:03.351 ほとんどの方がそうですね 00:07:03.351 --> 00:07:07.295 では今でも一人でリコーダーを楽しんでいる 合奏をしている方は? 00:07:07.295 --> 00:07:11.501 おお! 1人2人…すばらしい 予想以上の人数ですね! 00:07:11.501 --> 00:07:17.148 ごく少数の方が今でも続けられていますが ほとんどの人はやめてしまいますね 00:07:17.148 --> 00:07:20.685 これは小学校の教育方針の 大失態ということでしょうか? 00:07:20.685 --> 00:07:24.686 なぜ私たちは生活に役に立つ技術でもない リコーダーを学んだのでしょうか? 00:07:24.686 --> 00:07:26.171 もちろん それが目的ではないからです 00:07:26.171 --> 00:07:28.984 リコーダーを学ぶことで 私たちは音楽について学習します 00:07:28.984 --> 00:07:30.717 長調や短調について学びます 00:07:30.717 --> 00:07:32.118 そして楽譜を読むようになります 00:07:32.118 --> 00:07:34.000 リズムや拍子記号について学び 00:07:34.000 --> 00:07:36.003 他の人たちとリズムを合わせ ハーモニーを奏でます 00:07:36.003 --> 00:07:41.401 これらの音楽知識は全て この簡単な楽器で学ぶことができ 00:07:41.401 --> 00:07:44.561 ファゴットやパイプオルガン 00:07:44.561 --> 00:07:47.118 演奏したい楽器 何にでも応用することができます 00:07:47.118 --> 00:07:53.018 同じように 学校で習うフランス語はファゴットです 00:07:53.018 --> 00:07:56.561 スペイン語はファゴットです 00:07:56.561 --> 00:07:59.985 中国語は声調までついた巨大ファゴットです! 00:07:59.985 --> 00:08:02.493 (笑) 00:08:02.493 --> 00:08:06.835 エスペラントはリコーダーです 単にそういうことです 00:08:06.835 --> 00:08:08.836 次の話の前にお伝えしたいことがあります 00:08:08.836 --> 00:08:11.737 立って壁に表示された文字を読むだけという 00:08:11.737 --> 00:08:13.551 プレゼンテーションはすべきではありません 00:08:13.551 --> 00:08:15.918 それはプレゼンではなく ただ声に出して読まれたレポートです 00:08:15.918 --> 00:08:17.734 すぐに退屈になります 00:08:17.783 --> 00:08:20.635 ですが 私はこれから壁に文字を表示し 00:08:20.635 --> 00:08:22.435 皆さんに読み上げます 00:08:22.435 --> 00:08:23.786 1度だけですので お付き合い願います 00:08:23.786 --> 00:08:26.007 マンチェスター大学教育学部からの 00:08:26.007 --> 00:08:28.403 レポートの一部なのですが 00:08:28.403 --> 00:08:31.285 「多言語への踏み台」プロジェクトへの評価として 00:08:31.285 --> 00:08:35.236 18か月間 エスペラントを学習した学校Aと 00:08:35.236 --> 00:08:38.975 2年間フランス語を学習し 00:08:38.975 --> 00:08:42.703 そしてエスペラントを学習し始めた 学校Bについて 00:08:42.703 --> 00:08:46.609 書かれています 00:08:46.609 --> 00:08:49.419 この2つの学校でフランス語のテストが行われ こんな結果が出ました 00:08:49.419 --> 00:08:53.118 「この踏み台プロジェクトは 他の外国語の学習の役に立つのか?」 00:08:53.118 --> 00:08:55.953 「児童はフランス語の文章を 解読するよう言われました」 00:08:55.953 --> 00:08:58.118 (フランス語) 「象の耳はとても大きくて 00:08:58.118 --> 00:08:59.685 鼻はとても長いです」 00:08:59.685 --> 00:09:01.632 結果は 00:09:01.632 --> 00:09:03.970 「この文章を正しく翻訳できたのは 00:09:03.970 --> 00:09:06.086 面白いことに 学校Aの 00:09:06.086 --> 00:09:09.001 エスペラントを学習していて フランス語を1度も学習したことのない 00:09:09.001 --> 00:09:09.996 子供たちだったのです」 00:09:09.996 --> 00:09:11.953 この子供たちは 面白いメタ言語的な 00:09:11.953 --> 00:09:15.649 解読方法を使っていました― 語源 句読点 文脈です 00:09:15.649 --> 00:09:18.861 これらは エスペラントを学習する過程で 身についた言語力なのです 00:09:18.861 --> 00:09:22.088 「1年生からフランス語を学習していた 学校Bの子供たちはというと 00:09:22.088 --> 00:09:25.285 フランス語テストの成績で 学校Aの子供たちより 00:09:25.285 --> 00:09:26.921 少し上回っただけでした」 00:09:26.921 --> 00:09:29.640 つまり エスペラントを学習することで 身についた力のおかげで 00:09:29.640 --> 00:09:32.986 フランス語を学んでいた子供たちに フランス語テストで 00:09:32.986 --> 00:09:34.951 ほぼ追いつくことができたのです 00:09:34.951 --> 00:09:37.152 エスペラントのすごさとは何なのでしょうか? 00:09:37.152 --> 00:09:38.986 どうしてこんなにすごいのでしょうか? 00:09:38.986 --> 00:09:40.404 いくつか例を紹介しましょう 00:09:40.404 --> 00:09:42.454 この上の部分には 数字が書いてあります 00:09:42.454 --> 00:09:44.254 (エスペラント)  unu du tri kvar kvin (1 2 3 4 5) 00:09:44.254 --> 00:09:46.203 ses sep ok nau dek (6 7 8 9 10) 00:09:46.203 --> 00:09:48.553 これだけは覚えなくてはなりません 00:09:48.553 --> 00:09:50.536 ですが これさえ覚えれば 00:09:50.536 --> 00:09:53.751 もう99までの数字を数えることができます 00:09:53.751 --> 00:09:57.253 これ以上覚えなくても あとは応用するだけでいいのです 00:09:57.253 --> 00:10:00.987 11 12 13は "dek unu", "dek du", "dek tri" 00:10:00.987 --> 00:10:03.782 つまり「10と1」 「10と2」 「10と3」と 00:10:03.782 --> 00:10:07.481 "dudek"まで来ても 文字通り「10が2こ」となります 00:10:07.481 --> 00:10:10.304 そして "dudek unu (21)" "dudek du (22)" と 00:10:10.304 --> 00:10:11.574 99まで続きます 00:10:11.574 --> 00:10:15.421 なので100や10の位を勉強している子供たちは 00:10:15.421 --> 00:10:18.889 数字をエスペラントに翻訳しているのです 00:10:18.889 --> 00:10:20.404 これが授業で起こっているのを 実際に見たことがあります 00:10:20.404 --> 00:10:25.121 「27…dudek sep...ってことは 'dudek' が10が2つだから 00:10:25.121 --> 00:10:26.405 10の位は2で 00:10:26.405 --> 00:10:28.238 1の位は7だ」と 00:10:28.238 --> 00:10:30.288 このように数字をエスペラントに翻訳することで 00:10:30.288 --> 00:10:33.102 27の2が何を意味するかという 数字の構造を理解できるのです 00:10:33.102 --> 00:10:35.916 "dudek" なので10が2つ 00:10:35.916 --> 00:10:38.732 では1番下の"sesdek tri"は …わかる人はいますか? 00:10:39.490 --> 00:10:45.940 「73!」 あ…実は63なのですが チャレンジありがとうございます! 00:10:48.032 --> 00:10:51.366 これからもわかるように 00:10:51.366 --> 00:10:53.299 暗記が最小限になっています 00:10:53.299 --> 00:10:57.754 "patro"という「父」を意味する単語を学べば そこから"patrino" という単語にたどり着けます 00:10:57.754 --> 00:11:01.055 "-ino"とは「女性 女性的な」 といった意味を表すので 00:11:01.055 --> 00:11:02.729 "patrino"は「母」の意味になります 00:11:02.729 --> 00:11:04.415 別々に単語を覚えなくていいのです 00:11:04.415 --> 00:11:08.218 "instruisto"は「先生」で 00:11:08.218 --> 00:11:11.370 その先生が女性だということを表したければ 00:11:11.370 --> 00:11:14.200 "instruistino" とすればいいだけです 00:11:14.200 --> 00:11:18.066 女性を表すときは 何にでも"-ino"をつければいいのです 00:11:18.066 --> 00:11:21.651 "hundo" という単語は ドイツ語がわかれば 「犬」だとすぐわかるでしょうが 00:11:21.651 --> 00:11:27.816 "hundido" は「子犬」で "-ido" には「若い」「子孫」といった意味があります 00:11:27.816 --> 00:11:30.552 同様に "kato" という単語は 「子猫」を表す "katido" に 00:11:30.552 --> 00:11:33.514 ラテン語かイタリア語が分かれば 「ウサギ」と分かるであろう "kuniklo" という語は 00:11:33.514 --> 00:11:37.833 「子ウサギ」という語 "kuniklido" になります 00:11:37.833 --> 00:11:41.068 私は25年間フランス語を話してきて 00:11:41.068 --> 00:11:43.684 フランスに住んだこともあり 家族も英語とフランス語の両方を話しますが 00:11:43.684 --> 00:11:47.535 フランス語で「子ウサギ」を表す語は 00:11:47.535 --> 00:11:49.090 すぐには思い浮かびません 00:11:49.090 --> 00:11:51.249 「ウサギ」という語は分かりますが その子供を示す語は分かりません 00:11:51.249 --> 00:11:54.319 フランス語では思い出せませんが エスペラントでは明らかです 00:11:54.319 --> 00:11:57.364 単語が分からなくとも すぐに導き出せるのです 00:11:57.364 --> 00:11:59.486 "kontenta" は 「嬉しい」という意味ですが 00:11:59.486 --> 00:12:02.199 "malkontenta"となると "mal-" が逆の意味を示すので 00:12:02.199 --> 00:12:03.399 「悲しい」となるのです 00:12:03.399 --> 00:12:06.314 「大きい」という意味の "granda" も同じく 00:12:06.314 --> 00:12:08.533 "malgranda" となれば 「小さい」というエスペラントの単語になります 00:12:08.533 --> 00:12:10.314 別々に単語を覚えなくていいのです 00:12:10.314 --> 00:12:14.570 エスペラントの形容詞にはもれなく 「一つ買うともう一つおまけ」があるのです (笑) 00:12:14.570 --> 00:12:17.449 "mal-" という接頭辞だけで 暗記する単語の数を 00:12:17.449 --> 00:12:20.084 本当に半分にしたのです 00:12:20.084 --> 00:12:23.365 これは1つの例でしかありませんが 00:12:23.365 --> 00:12:25.882 このような特徴は この言語全体にあてはまります 00:12:25.882 --> 00:12:31.598 フランス語やその他の言語を勉強することは 00:12:31.598 --> 00:12:35.355 追加のプロセスのように思えました― 新しい単語に出くわすと 00:12:35.355 --> 00:12:37.082 発音やスペルを覚え 00:12:37.082 --> 00:12:40.547 意味と共に単語として加算的に蓄えます 00:12:40.547 --> 00:12:43.482 エスペラントの学習は倍数的です 00:12:43.482 --> 00:12:46.748 新しい単語を覚える度 すでに習得したことを 00:12:46.748 --> 00:12:48.598 組み換え 掛け合わせるので 00:12:48.598 --> 00:12:50.065 新しい単語一つだけでなく 00:12:50.065 --> 00:12:52.965 新しい一連の表現を 開拓することができるのです 00:12:52.965 --> 00:12:57.376 これは子供たちの学習にしてもまさにそうで 00:12:57.376 --> 00:13:00.265 創造的に言語を使用できる段階まで 00:13:00.265 --> 00:13:02.382 速くたどり着けることで 00:13:02.382 --> 00:13:05.233 単語を繰り返したり 文章を覚えたりするだけでなく 00:13:05.233 --> 00:13:08.200 もっと面白いことができるのです 00:13:08.200 --> 00:13:10.597 こんな具合です 00:13:10.597 --> 00:13:14.265 私は 3か月間の学習で 文法的に完璧になったエスペラントで 00:13:14.265 --> 00:13:17.314 8歳の子に 追い詰められたことがあります 00:13:17.314 --> 00:13:20.547 私たちはあるアクティビティをしていて 私が指示を与え 00:13:20.547 --> 00:13:24.450 子供たちはそれに従い 何をしているか言うというものでした 00:13:24.450 --> 00:13:27.282 私が命令形の動詞を使い 子供たちは現在形の動詞を使うのです 00:13:27.282 --> 00:13:32.598 私が "Staru!" というと子供たちは 立ち上がって "Mi staras!" と言います 00:13:32.921 --> 00:13:36.664 私が "Sidu!" と言うと今度は座って "Mi sidas!" と言います 00:13:36.664 --> 00:13:40.952 私が "Saltu!" と言うと 子供たちは "Mi saltas! Mi saltas!" と言います 00:13:40.952 --> 00:13:43.302 そして私が "OK, silentu!" と言うと 00:13:43.302 --> 00:13:46.117 クラス全員が "Mi silentas!" と言いました 00:13:46.117 --> 00:13:51.751 ジョニー君だけが "Mi ne silentas!" と言いましたが 00:13:51.751 --> 00:13:54.324 ここで私はジレンマを抱えます 00:13:54.324 --> 00:13:57.519 私はここで彼をしかるべきなのか あるいは賞賛すべきなのか? 00:13:57.519 --> 00:14:00.187 彼はクラス全体を笑わせてくれました 00:14:00.187 --> 00:14:03.135 完璧な文法で学習中の言語を使ってです 00:14:03.135 --> 00:14:04.490 外国語の先生の立場から言えば 00:14:04.490 --> 00:14:07.919 夢がかなったようなものです これを目指してきたんだと! 00:14:07.919 --> 00:14:12.485 なので私は最高の「笑いをこらえた困り顔」を作り "Vi! Silentu!" と言いました 00:14:12.485 --> 00:14:14.884 すると彼は "OK, mi silentas!" と答えてくれました 00:14:14.884 --> 00:14:20.802 しかしこのような状況は 私のフランス語の授業では見たことがありません 00:14:20.802 --> 00:14:23.686 フランス語を教えるのが楽しくないのではありません 十分楽しんでいます 00:14:23.686 --> 00:14:27.569 子供たちが楽しんでいないのでもありません 楽しんでくれていると思います 00:14:27.569 --> 00:14:32.187 ただそれまでの暗記や練習が多すぎるのです 00:14:32.187 --> 00:14:35.852 フランス語やスペイン語 ドイツ語 00:14:35.852 --> 00:14:37.836 他の言語でも 00:14:37.836 --> 00:14:41.620 何年かして軌道に乗ってくるまでの段階で 00:14:41.620 --> 00:14:45.245 残念ながら多くの子供たちが興味を失ってしまい 00:14:45.245 --> 00:14:48.635 外国語は苦手だと思い込んでしまうのです 00:14:48.635 --> 00:14:50.119 話すことができないからです 00:14:50.119 --> 00:14:52.169 彼らのせいではありません 先生のせいでもありません 00:14:52.169 --> 00:14:56.086 ただ創造的に言語を使える段階までたどり着くのは 00:14:56.086 --> 00:14:58.597 とても難しいということにつきます 00:14:58.597 --> 00:15:01.056 エスペラントは このような経過を大幅に短縮することで 00:15:01.056 --> 00:15:04.258 子供たちはそのレベルまでたどり着くことができ 00:15:04.258 --> 00:15:06.324 外国語を話すというという経験や 00:15:06.324 --> 00:15:08.395 言語を生かして楽しむことができるのです 00:15:08.395 --> 00:15:11.737 だから私たちは活動しているのです 00:15:11.737 --> 00:15:15.772 さて エスペラント? 授業で? 公立の学校で? 00:15:15.772 --> 00:15:18.668 そうです! この講演をしている間にも 00:15:18.668 --> 00:15:21.919 私のようなエスペラントの専門家が授業をしたり 00:15:21.919 --> 00:15:27.185 ここが重要なのですが エスペラントを学んだことのない先生でも 00:15:27.185 --> 00:15:30.236 かなりの速さで習得して 00:15:30.236 --> 00:15:34.590 教えることができるのです 00:15:34.590 --> 00:15:36.235 つまり教員不足の問題も一気になくなります 00:15:36.235 --> 00:15:38.989 少しお恥ずかしい話ですが 00:15:38.989 --> 00:15:42.185 私が最低限のエスペラントを教えた担任の先生から 00:15:42.185 --> 00:15:45.097 一年間エスペラントを学んだクラスの子たちが 00:15:45.097 --> 00:15:47.852 私が1年間教えていたクラスの子たちより 00:15:47.852 --> 00:15:49.705 よっぽど上手にエスペラントを話したことがあるのです 00:15:49.705 --> 00:15:51.868 何が起きているのでしょうか? 00:15:51.868 --> 00:15:57.202 実に簡単なことです 私は週に45分しか学校を訪れませんでした 00:15:57.202 --> 00:15:59.986 その時間でできるだけのことはしましたが それだけです 00:15:59.986 --> 00:16:01.835 担任の先生は子供たちと常に一緒にいます 00:16:01.835 --> 00:16:04.468 なので何かをする度にちょっとずつ エスペラントに触れることができていたのです 00:16:04.468 --> 00:16:07.004 数学の時間でも 英語の時間でも 00:16:07.004 --> 00:16:09.404 出席を取るときでも いつでも 00:16:09.404 --> 00:16:13.360 なので 担任の先生に教わった生徒たちは 00:16:13.360 --> 00:16:17.868 以前私が教えていた子たちより 00:16:17.868 --> 00:16:21.047 もっと膨大な量を吸収することができたのです 00:16:21.047 --> 00:16:24.599 これが私たちの活動です 驚くほどうまくいっており 00:16:24.599 --> 00:16:28.625 この活動に携われたことを誇りに思っています ありがとうございました 00:16:28.625 --> 00:16:30.525 (拍手)