0:00:01.400,0:00:08.229 「私たちはみな生命という贈物(ギフト)を授かっている。[br]私たちが命を使って行うことは、お返しの贈物なのだ。」エド 0:00:16.239,0:00:18.678 何かを理解しようとすると、いつもそうなのです… 0:00:19.278,0:00:21.024 なぜこうなるのだろう? 0:00:21.025,0:00:23.358 なぜ多様な生きものが失われていくのだろう? 0:00:23.512,0:00:27.278 なぜまだ石油を掘り続け、 0:00:27.798,0:00:29.894 それで大気を汚染し、 0:00:29.894,0:00:31.509 海を汚すのだろう? なぜ? 0:00:31.509,0:00:33.279 いったいなぜ? 0:00:33.939,0:00:37.963 なぜを3回も掘り下げると、必ずお金にたどり着きます。 0:00:39.420,0:00:40.940 これから語るのは、 0:00:40.940,0:00:43.860 すべての文化に内在する、自己の物語。 0:00:43.860,0:00:46.080 「自分は何者か?」という問題への答。 0:00:46.427,0:00:49.063 人間であるとはどういうことか? 0:00:49.803,0:00:52.006 その物語では、自分は分断された一個人で、 0:00:52.006,0:00:53.583 ばらばらに分断された他の存在の中にあって、 0:00:53.583,0:00:56.683 この宇宙とも分断されています。 0:00:57.179,0:01:00.044 あなたは私ではない、あの花も私とは違う、 0:01:00.044,0:01:01.515 何か別のもの。 0:01:01.801,0:01:04.605 実は、この自己の物語が 0:01:04.605,0:01:07.079 世界を作り出しています。 0:01:07.239,0:01:08.775 もし自分が、分断された個人で、 0:01:08.775,0:01:10.480 周りにいるのも、ばらばらの他人と、 0:01:10.480,0:01:11.862 他の生きものたちで、 0:01:11.862,0:01:16.315 この宇宙も自分にはまったく無関心で、 0:01:16.315,0:01:18.609 むしろ自分に敵対しているとすれば、 0:01:18.609,0:01:22.093 必ず自分の意のままにしたくなるでしょう。 0:01:22.557,0:01:26.098 他者を支配する権力を持ちたい、 0:01:26.098,0:01:30.154 いつなんどき自分の命を奪うかも知れない自然の 0:01:30.154,0:01:33.433 気紛れな力を、この手で制したいと思うでしょう。 0:01:35.689,0:01:38.577 いま、この物語は時代遅れになりつつあり、 0:01:38.577,0:01:41.085 もはや真実ではなくなってきています。 0:01:41.484,0:01:44.009 もう私たちはこの物語に共感することができません。 0:01:44.519,0:01:47.953 むしろ、その支配の方法が 0:01:47.953,0:01:50.590 解決できない危機を生み出しつつあるのです。 0:01:51.391,0:01:54.757 その危機が私たちの前に立ちふさがっていたものを除き、 0:01:54.757,0:01:57.217 自己の新しい物語と、人々の新しい物語に向かって 0:01:57.217,0:01:59.537 私たちは踏み出すことができます。 0:02:00.517,0:02:07.857 「聖なる経済学」 0:02:23.485,0:02:25.520 お金とは合意なのです。 0:02:25.812,0:02:27.733 それ自身に価値はありません。 0:02:28.578,0:02:32.374 価値があると人々が合意するから価値があるのです。 0:02:32.667,0:02:35.140 お金が何をするかを経済学者は語ります。 0:02:36.525,0:02:38.742 交換の仲立ちをするのだと。 0:02:39.094,0:02:42.652 物を数えたり管理するのに使います。 0:02:42.652,0:02:44.245 小切手という魔法の紙に 0:02:44.245,0:02:47.468 数字を書き込むと 0:02:47.468,0:02:51.538 ありとあらゆる豊富な商品が 0:02:51.538,0:02:53.131 家に流れ込んできます。 0:02:53.526,0:02:56.801 何千何万の人々を貧困に陥れることさえも、 0:02:56.801,0:03:02.067 お金の魔術の頂点に立つ者なら可能です。 0:03:03.639,0:03:06.323 欠乏は、目に見えるレベルで 0:03:06.323,0:03:08.497 金銭システムに組み込まれています。 0:03:08.657,0:03:10.638 それは、利子付きの借金として 0:03:10.638,0:03:12.398 お金が作り出されるからです。 0:03:12.567,0:03:15.112 銀行がお金を貸し出したり、 0:03:15.112,0:03:17.496 国家の中央銀行がお金を作り出すたびに、 0:03:17.496,0:03:21.480 同じ額の借金が発生し、 0:03:21.480,0:03:23.972 借金には金利が課せられているので、 0:03:23.972,0:03:26.162 必ず借金の方が作り出されるお金よりも多くなります。 0:03:26.168,0:03:28.671 人々は決して足りることのないお金をめぐって 0:03:28.671,0:03:30.610 互いを敵にした競争の中に落ちます。 0:03:30.610,0:03:33.511 もう一つ、金銭システムに組み込まれたものが、成長です。 0:03:33.757,0:03:35.765 あなたが銀行なら、お金を貸し出す相手に選ぶのは 0:03:35.765,0:03:38.020 新しい商品やサービスを作り出しそうな人です。 0:03:38.020,0:03:40.695 そうすれば利益を上げ、あなたに返済してくれます。 0:03:40.695,0:03:42.316 商品やサービスを作り出さない人に、 0:03:42.316,0:03:44.142 お金を貸し出すことはありません。 0:03:44.142,0:03:47.121 つまりお金は、より多く作り出す人の所に行きます。 0:03:47.721,0:03:49.649 しかし経済成長が基本的に意味するのは 0:03:49.649,0:03:52.147 自然だった物を商品に作り替えるような何かを、 0:03:52.147,0:03:55.219 あるいは贈り贈られる関係であったものを 0:03:55.219,0:03:57.253 サービスに作り替えるような何かを、 0:03:57.253,0:03:59.308 見つけなければならないということです。 0:03:59.308,0:04:01.674 人々が以前は無料で得ていた物や 0:04:01.674,0:04:04.218 お互いに助け合っていたことを 0:04:04.218,0:04:08.134 人々から取り上げて、何らかの形で売りつけます。 0:04:09.488,0:04:12.231 ものごとを商品に作り替えることで、 0:04:12.231,0:04:14.573 私たちは自然から切り離され、 0:04:14.573,0:04:16.971 コミュニティーから切り離されます。 0:04:16.971,0:04:20.701 目に見える自然は、単なる物の集まりです。 0:04:20.701,0:04:23.471 それが私たちを孤独にし、 0:04:23.471,0:04:28.230 生きるために必要な基本的なことさえ満たされません。 0:04:28.230,0:04:30.213 でもお金があれば、 0:04:30.213,0:04:34.792 買うことによって飢えを満たせるかもしれません。 0:04:34.792,0:04:38.923 物を買ったり、お金そのものを蓄えることによって。 0:04:38.923,0:04:42.449 そうして、私たちは成長の限界に近づいています。 0:04:42.449,0:04:46.071 地球はこれ以上の成長を支え続けることができません。 0:04:46.381,0:04:50.466 これが、当面の危機が消え去る見込みのない理由です。 0:04:53.676,0:04:57.621 「贈物(ギフト)」 0:04:58.961,0:05:00.967 私が子供心に感じていたのは、 0:05:00.967,0:05:03.202 何かが間違っているということでした。 0:05:03.202,0:05:05.323 これはあるべき姿ではないという感覚を、 0:05:05.323,0:05:07.452 たいていの子供たちが持っていると思います。 0:05:07.452,0:05:10.461 たとえば、こんなに月曜日が嫌いなのは変だ、 0:05:11.511,0:05:14.700 幸せなのは学校が無い日だなんておかしい。 0:05:14.700,0:05:16.701 学校は好きな場所であるはずです。 0:05:16.701,0:05:18.799 人生は愛しいものであるはずです。 0:05:19.089,0:05:22.841 私たちを生かしてくれるもの、人生を善くしてくれるものは、 0:05:22.841,0:05:26.345 私たちが働いて作ったものではありません。 0:05:26.345,0:05:28.209 空気も、自分の命も、 0:05:28.209,0:05:30.003 私たちが働いて作ったものではありません。 0:05:30.003,0:05:31.567 自分が受胎したのも、 0:05:31.567,0:05:33.219 呼吸ができるようになったのも、 0:05:33.219,0:05:34.921 自分で働いた結果ではありません。 0:05:34.921,0:05:36.745 地球が食べ物を与えてくれるのも、 0:05:36.745,0:05:38.568 私たちが働いた結果ではありません。 0:05:38.568,0:05:40.372 太陽も、私たちが働いた結果ではありません。 0:05:40.372,0:05:43.697 だから、生まれ持った感謝の気持ちを 0:05:43.697,0:05:46.262 私たちは内に秘めているのだと思います。 0:05:46.262,0:05:48.248 みんな私たちの労働の結果ではないのを、 0:05:48.248,0:05:49.794 ある意味わかっているから。 0:05:49.794,0:05:52.462 人生が贈物(ギフト)であることを知っているから。 0:05:52.462,0:05:54.830 贈物を頂いたと知ったときの、 0:05:54.830,0:05:57.001 自然な反応は感謝なのです。 0:05:57.001,0:05:58.883 何かをお返ししたいという欲求。 0:05:59.563,0:06:04.353 贈与(ギフト)経済のあり方とはまったく異なり、 0:06:04.353,0:06:06.183 現在の金銭経済では 0:06:06.183,0:06:09.434 全員が世界中の全ての人との競争の中にいます。 0:06:09.434,0:06:11.976 贈与社会では、自分の必要以上に持っているとき 0:06:11.976,0:06:15.148 それを必要とする人に与えます。 0:06:15.148,0:06:18.935 それが、社会的地位を得る方法であり、 0:06:18.935,0:06:21.350 生活の安全を保証してくれる拠り所でもあります。 0:06:21.350,0:06:23.318 この大きな感謝を育てておけば 0:06:23.318,0:06:25.934 人々はあなたを気づかい、世話するようになります。 0:06:25.934,0:06:27.433 贈物(ギフト)がなければ、 0:06:27.433,0:06:28.982 コミュニティも存在しません。 0:06:28.982,0:06:32.292 社会がますます金銭化されるにつれて 0:06:32.292,0:06:34.836 コミュニティが消えていくのが分かります。 0:06:34.836,0:06:36.766 人々はそれが消えたのを惜しみますが、 0:06:36.766,0:06:38.696 コミュニティーは金銭化された生活の 0:06:38.696,0:06:40.628 「付属品」とはなりません。 0:06:40.628,0:06:43.199 本当はお互いを必要としているのです。 0:06:43.199,0:06:47.715 贈物(ギフト)を捧げたいと望んでいて、 0:06:47.715,0:06:51.017 お金に捕らわれていなければ、そうするでしょう。 0:06:51.017,0:06:53.142 しかしお金が壁になっています。 0:06:53.142,0:06:55.945 そうしたいのは山々だが、 0:06:55.945,0:06:57.474 お金が足りるだろうか? 0:06:57.474,0:07:00.023 現実的だろうかと考えます。 0:07:00.023,0:07:01.738 お金がブレーキを掛けます。 0:07:01.738,0:07:06.463 心の底から美しいことをしてあげたいのに。 0:07:06.463,0:07:09.428 ホームレスの人々のために菜園を作ったり 0:07:09.428,0:07:12.614 お世話をして自然と繋がり直す手助けをするとか? 0:07:12.614,0:07:15.267 有毒廃棄物処分地を浄化したり? 0:07:15.267,0:07:16.329 何ができるでしょうか? 0:07:16.329,0:07:17.958 どんな美しいことをしてあげられるでしょうか? 0:07:17.958,0:07:20.208 ではなぜ、それが現実的ではないのでしょうか? 0:07:20.208,0:07:22.826 そのためのお金がないのはなぜでしょうか? 0:07:24.006,0:07:29.104 「変革」 0:07:30.644,0:07:34.393 ギフトの原理を実現した社会は 0:07:34.393,0:07:37.878 真実に、ひたすら根ざした経済。 0:07:38.138,0:07:41.318 私たちが直面する仕事は 0:07:41.318,0:07:44.850 お金を、ギフトの本当の姿に合わせることです。 0:07:44.850,0:07:48.104 お金を作り出し、お金を循環させる 0:07:48.104,0:07:50.954 全く違う仕組みが必要になります。 0:07:50.954,0:07:54.354 たとえばマイナスの利息を採り入れます。 0:07:54.354,0:07:56.955 これが高利貸しとは反対の効果を生みます。 0:07:56.955,0:07:59.190 また、コストを内部化します。 0:07:59.190,0:08:01.169 そうすれば環境を汚染することはできず 0:08:01.169,0:08:04.296 未来の世代にコストを払わせることもできなくなります。 0:08:04.296,0:08:06.008 また、社会的配当を採り入れ、 0:08:06.008,0:08:10.354 共有財(コモンズ)であるべきものから得た富を分け合います。 0:08:10.354,0:08:13.375 土地、地下水、文化遺産から得た富です。 0:08:13.555,0:08:17.852 また、経済の機能を地域に取り戻します。 0:08:18.382,0:08:22.484 また、あらゆる形の個人どうしの金融を採り入れ、 0:08:22.484,0:08:24.928 個人の間でお金が回り出します。 0:08:25.168,0:08:27.695 現在のお金のシステムから離れるときに 0:08:27.695,0:08:29.642 何が起こるのでしょうか? 0:08:29.882,0:08:31.407 現在のお金のシステムは 0:08:31.407,0:08:33.702 ますます機能不全になります。 0:08:33.702,0:08:35.257 成長を維持するために、 0:08:35.257,0:08:37.222 ますますコストがかかります。 0:08:37.222,0:08:38.775 システムの維持に必要な速さで 0:08:38.775,0:08:40.548 経済成長を続けることは 0:08:40.548,0:08:42.941 どんなに努力しても不可能になります。 0:08:43.491,0:08:45.708 経済成長はさらに貧困を作り出すだけです。 0:08:45.928,0:08:48.382 人々はもう耐えられないのです。 0:08:49.285,0:08:51.454 この人為的に引き起こした競争の 0:08:51.454,0:08:54.089 頂点にいる人たち、勝者たちでさえ、 0:08:54.089,0:08:55.597 幸せではないのです。 0:08:55.597,0:08:58.312 このシステムは彼らのためにもなっていません。 0:08:58.562,0:09:02.627 これから何度も危機が訪れるのを目にするでしょう。 0:09:02.627,0:09:05.309 度重なるごとに深刻さが増していくでしょう。 0:09:05.309,0:09:07.325 危機が起こるたびに 0:09:07.325,0:09:09.409 私たちは集団的な選択を迫られます。 0:09:09.409,0:09:14.194 このゲームを放棄して人々の中に加わるのか? 0:09:14.194,0:09:16.862 それとも、もっと強くしがみつくか? 0:09:16.862,0:09:21.999 どの時点でこの目覚めが起きるかを 0:09:21.999,0:09:25.005 決めるのは、じつは私たちなのです。 0:09:26.315,0:09:30.891 「大人になる」 0:09:31.461,0:09:33.418 これはみんな大きな間違いだったのでしょうか? 0:09:33.418,0:09:35.327 これはもっともな疑問で、 0:09:35.327,0:09:38.006 何度か間違いを犯したことは確かなようです。 0:09:38.006,0:09:40.585 かつて地球上で起きた恐ろしい出来事が、 0:09:40.585,0:09:42.067 世界を見回せば 0:09:42.067,0:09:43.930 いまも続いているのが分かります。 0:09:44.110,0:09:46.686 こう考える人もいます。私はこんなのは嫌だ、 0:09:46.686,0:09:49.517 文明は巨大な間違いだったのだと。 0:09:50.197,0:09:52.390 私は、この長い分断の旅が 0:09:52.390,0:09:54.533 けっして間違いではなく、 0:09:54.533,0:09:56.211 もっと大きな過程の 0:09:56.211,0:09:58.239 一部だと見るようになりました。 0:09:58.239,0:10:00.143 それは1960年代の環境運動とともに 0:10:00.143,0:10:02.077 始まったように思います。 0:10:02.077,0:10:05.841 それは集団意識への最初の目覚めでした。 0:10:05.841,0:10:07.978 宇宙飛行士が宇宙に出て、 0:10:07.978,0:10:11.209 分断の極みを体験しました。 0:10:11.739,0:10:14.181 電送された写真は、 0:10:14.181,0:10:17.457 今でも私たちに愛の心を呼び起こします。 0:10:18.077,0:10:20.188 私たちは地球に恋してしまったのです。 0:10:20.188,0:10:22.914 人類が大人へと成熟していく過程の一部なのです。 0:10:23.144,0:10:27.762 もうひとつ、これは成人になる通過儀礼で、 0:10:28.112,0:10:31.144 古い世界は解体し、 0:10:31.144,0:10:35.240 新しい世界が生まれるのです。 0:10:36.216,0:10:38.217 子供は遊びますね。 0:10:38.217,0:10:41.664 子供は遊びを通して贈物(ギフト)の感覚を養いますが、 0:10:41.664,0:10:45.370 まだそれを本当の目的に使うことはありません。 0:10:45.370,0:10:46.991 これが、今の人類がしていることなのです。 0:10:46.991,0:10:48.870 これまでやりたい放題やってきました。 0:10:48.870,0:10:53.177 技術と文化という贈物(ギフト)で遊び、 0:10:53.177,0:10:55.871 このギフトを発達させてきました。 0:10:55.871,0:10:58.891 私たちは今、大人になる時期を迎え、 0:10:58.891,0:11:01.891 それを本当の目的に使うときが来たのです。 0:11:01.891,0:11:03.720 最初は、これまでに作った傷を 0:11:03.720,0:11:05.794 癒すのだと思います。 0:11:05.794,0:11:08.837 癒さなければならないものがたくさんあります。 0:11:09.237,0:11:11.521 ほとんど不可能でさえあります。 0:11:12.637,0:11:15.236 私たちは、地球上に奇跡を起こすという 0:11:15.236,0:11:19.055 大事業の中にいると言えるでしょう。 0:11:21.240,0:11:22.756 つまりこれは、 0:11:22.756,0:11:25.632 現実の古い理解からは不可能だが、 0:11:25.632,0:11:28.408 新しい理解では可能になるような 0:11:28.408,0:11:29.765 ものなのです。 0:11:30.025,0:11:31.755 実は、それこそが必然なのです。 0:11:31.755,0:11:34.800 それ以下のものは、試みる価値もないのです。 0:12:05.490,0:12:07.580 字幕翻訳:酒井泰幸